イチゴの苗の育苗➡夜冷処理➡定植➡出蕾と毎年、天候に左右されながら、大きな
収穫時期の遅れもなく12月からイチゴの販売やイチゴ狩りを始めています。
今年は、8月の高温や9月~10月の日照不足と昨年同様と言うより、昨年以上に
栽培に天候が影響しそうです。
館長は、昨年のような栽培に悪影響を与える、異常気象を想定して
定植前までに苗を例年以上に大きくしたり、定植後の日照不足に対応できる
栽培条件を準備して、イチゴの不作を防止すべく対策を実施してきました。
1.イチゴは、一番最初の1個目が大きく、その後順番に実が小さくなります。
そのために、当館はイチゴの収穫時期を変えて、何時も大きい実や小さい実が
収穫出来るようにしています。
2.イチゴは、6か月から8か月間収穫できるのですが、冬の日照が少ない時期は、1回目の
収穫と2回目の収穫の間が空いてしまいます。
その対策として、収穫時期のスタートを変えて、いつ来られてもイチゴが有るように
定植しています。
3.従って当館は、4種類のイチゴ狩りができますが、実際には8種類のイチゴを定植するのと
同じように、定植時期を分けています。
毎年下記のような計画を立て栽培していますが、毎年出蕾を確認できるまでは、安心できません。
夜冷処理で収穫時期をコントロールする技術は、難しく山梨では、この技術を有するのは、当館だけです。
日本でも、イチゴ狩り園で、この夜冷処理技術を有するところは少ないでしょう。
嬉しいことに、今朝章姫やホワイトベリーに2ぱ%の出蕾が見られました。
昨年より約1週間ぐらいの遅れの出蕾になりそうです。
この原因は、異常気象対策で大きな苗に育ててから夜冷処理や定植を行ったためです。
イチゴの花芽分化は、苗の大きさ(大きいほど栄養成長で、生殖成長に入りにくい)や
気温の積算時間や日照時間などが複雑に絡みます。
どうも、10月中は天気が悪く日照不足で生育が遅れそうです。
館長が準備した対策でどれだけ、異常気象が吸収できるかは、まだ不明です。
処理名 | 品種 | 定植日 | 1番出蕾 | 収穫開始 | 収穫終 |
夜冷処理 | 章姫・紅・ホワイト | 9/22; | 10/26; | 12/16; | 1/5; |
半夜冷処理 | 章姫・紅・ホワイト | 9/29; | 11/2; | 12/25; | 1/15; |
遅い夜冷処理 | 章姫・ | 10/2; | 11/9; | 1/10; | 2/5; |
無処理 | かおり野 | 8/7; | 10/26; | 12/16; | 1/5; |
無処理 | かおり野 | 8/22; | 11/2; | 12/25; | 1/15; |
無処理 | かおり野 | 8/30; | 11/9; | 1/10; | 2/5; |
写真1.花芽分化や出蕾状況を調査する実態顕微鏡。通常の顕微鏡に比べて実態顕微鏡は、
高価なので、個人で持っている人は少ないです。
従って、夜冷処理をしているイチゴ園は、近くの大学の農学部に花芽分化を確認して
もらっているようです。
写真2.出蕾を調べたい株は、写真のように根を抜き、葉を除去してクラウン部の蕾を
実態顕微鏡で調べます。従って、この株は、死んでしまうので収穫できません。
写真3.クライン部を顕微鏡で拡大して花芽分化や蕾の有無を確認します。
チューリップのような形状の蕾が確認できた時は、最高に嬉しいです!